気功と合気道は関係あるの?
自分は合気会という団体で合気道の稽古をしており、合気道歴は15年以上、段位は3段です。
そして合気といわれる、柔よく剛を制すとされるような、特殊な体の使い方で大きな力を出したり、相手を無力化することもできます。
そんな私が合気道と気功についてお話しします。
よく言われるのが、合気道って気で何かするんですか?という質問ですが、合気道は気で何かするということはありません。
合気道で人が投げられて(技をかけられて)飛んだりしていますが、あれは合気道独特の受け身や稽古法で、自分から技にかけられにいっています。
なぜなら合気道は自分の技に相手にわざとかかってもらって投げや関節技を稽古するからです。
どんな技が来るか分かっているのに、わざわざ抵抗したら柔道の練習試合や、ボクシングでいうスパーリングになってしまい技の練習が成立しません。
合気道は技をかけられる方も、ただ棒立ちや何もせずに掛けられているだけではありません。
かけてくる技を体捌きや足さばきでしのぎ切ったり、プロレスのように相手の技にわざとかかって受けきり相手の技の威力を殺して無力化する意味もあります。
このように合気道では受け身の上手さも重要視されているので、演武で技をかけられる方もどれだけ受け身が上手いのか日ごろの稽古の成果を見せる場でもあるのです。
そして演武の時には派手に見えるようにわざと飛んだり跳ねたりしている人もいます。
つまりやらせもあります。
以上を踏まえると合気道で人が飛んでいるのは、気功で飛ばされたり、気の力で何かしているわけではありません。
合気道の稽古法に技をわざとかけられる、つまりやらせという動きが稽古の性質上で必要不可欠ということと、受け身の上手さも重要視されているからなのです。
しかし一般的にはやはり気功と合気道は全く関係ありません。
もし、合気道と気功を同じように考えるのならば、それはほかの打撃系の格闘技(空手・キックボクシング・ボクシング)や、柔道や柔術などの組み討ちと言われる寝技や投げ技を気功と一緒くたに考えているようなものです。
また合気道の創始者の植芝盛平師の立ち上げた合気会から、独立された合気会の分家のような流派で藤平光一先生が始めた気の研究会があります。
気の研究会は気功の流派ではありませんが、気の持ちようを重視している流派です。
気を重視している気の研究会ですら、触らないで相手を飛ばすようなことはしていません。
他には気功と合気道を混同している気功師や合気道の人を見かけます。
気功で人を飛ばしたり触らないで合気道のような技をかけたりといった具合に。
ああいう一見すごそうなものは、暗示や催眠にかかりやすい方や妄信的な方、感化されやすい方がかかってしまいますが、一般的には掛かりません。
ただ単にその気にさせられて自分で飛んでいるだけです。
現に自分はYoutubeやテレビにでて、気功で人を吹っ飛ばしていた達人の気功を受けましたが飛ばされませんでした。
他には気功と合気道を混同したような偽物の自称気功師がいます。
合気道を見たか、もしくは、数か月、下手をすると数回稽古をしただけで、自称合気道と気功を混ぜて人を教えている人たちがいます。
基本合気道を稽古されている方なら知っていると思いますが、合気会では3段を取得して、講習会に出席しないと、人に教える資格はありません。
ですからどこでどんな合気道を習ったり気功を覚えたのかは知りませんが、合気道と気功を混同している人がいるなら、その方は気功のことも知らないし、合気道のこともろくに知らない、ただのにわかでしょう。
気功と合気道の共通点があるとすれば、気を下におろすと重心が下に降りるということはあります。
重心が安定して合気道の技が重くなり威力が増します。
受け身をとるときも重心が下にあると腰も落ちて相手の技を受けきれるという利点があります。
しかし、実際に重心を下に落とすことができる人は少ないので、一般的にはやはり合気道と気功はあまり関係ないと言って良いと思います。
結論は、深く掘り下げると合気道も武道であるため精神性な部分もあり気功と通ずるところもあります。
しかし気功や合気道の経験がない方からみる場合は、気功と合気道は全く別物で関係ないと言っておいた方が変な誤解を生まなくてすむかと思います。