生徒さんに施術の提案
気功教室で生徒さんたちに気功を教えていると、施術を受ける予定だったお客さんから「まだ間に合いますか?」と連絡がありました。
しばらくすると、お店の扉が開き腰をかがめたまま、ぎこちなくお客さんが入ってきて、ゆっくりと椅子に座りました。
その姿を見て、これは生徒たちに自分たちの気功の腕前を体感させる絶好の機会だと直感しました。
私は生徒さんたちが気が出せるようになっている事を、日ごろの成果から知っていたので、施術をしてもらう事にしたのです。
闇雲に経験させようとか、失敗も経験になるから失敗してもいいという気持ちはみじんもありませんでした。
しなくていい失敗なんてする必要はありません。
可能であれば成功体験だけしてもらって、どんどん自信と実績を積み重ねればいいからです。
ただぶしつけに施術してもらうのは、生徒さんに失礼なので、「もしうまくいかなくても、後で自分が施術して治すからから大丈夫、安心して施術をしてみてほしい」と伝え、気功での施術をお願いしました。
そして生徒さんは自分にできるか不安がっていましたが、恐る恐る半信半疑でギックリ腰のお客さんに、数メートル離れた位置から気を送り始めました。
生徒さんが施術に挑戦
生徒さんが気を送り始めて5分ほど経った頃、お客さんが「痛みが減ってきたかも」と言い出しました。
その言葉に、生徒たちは驚きと半信半疑の表情を浮かべました。
しかし、私がいつも池袋で気功の施術をしている時と同じ効果が出ているので、施術の成功を確信して、そのまま気を送り続けるよう言いました。
その場にいた方たちは、気の施術の効果に半信半疑でしたが、狙った通りの効果が出て、一番喜んでいたのは私だったと思います。
お客さんの反応と施術後の変化
時間が経つごとに、お客さん自身も驚きを隠せない様子で、「腰の痛みが消えてきたもしれない、なんか体が温かい感じがする」と教えてくれました。
施術前には腰を反ったまま、ゆっくりとしか歩けなかったお客さんが、施術後は見た感じでは普通に歩けるようになり、さらに椅子への着席や立ち上がりといった動作も難なくこなせるようになりました。
痛みや不安もほとんど解消され、あれ・痛くないよ!全然座れるよさっきこうだったものと術前の困った様子を再現されながら、改善の度合いを教えてくれていました。
この経験は、生徒さんたちにとって非常に貴重な体験となったはずです。
日頃の気功の練習の成果がギックリ越しを治す瞬間を目の当たりにすることで、気功の持つ力を実感し、今後の自信に繋がる成功体験になったはずです。
気を用いた施術は、一切触れずに痛みを取り除き、体調を改善できることを改めて証明する結果にもなりました。
生徒さんたちの疑問
これでようやっと自身を持って施術してもらえるかなと思った矢先のことです。
人というのは面白いもので、次の気功教室の時でした。
前回ギックリ腰を改善した生徒さんが、ギックリ腰を自分の気功で改善したことが、まだ信じられない、出来た感覚がしないという事でした。
私は何もしていないから生徒さんの日頃の成果、実力だと説明しても、実感が湧いていないようでした。
それどころが私が同席していたから、私のエネルギーのおかげという話まで出ました。
本当に私は同席していただけで何もしていないのでそれはあり得ない事でした。
技術を検証する必要性
ただ私もエネルギーワークをやり始めた時は、手を触れずに痛みが消えたり不調が治るなんて信じられなかったので何十回も検証を重ねた記憶があります。
相手には事前に説明を一切せずに、気を送り姿勢を良くできるか、痛みや辛さを軽減できるかなど思いつくことはすべてやり倒しました。
その結果は、気功を否定できる材料が自分の中に無くなり、エネルギーワークの力を信じざるを得なくなったのです。
最近でも新しい気の送り方などを試すためにボルダリングジムにて、知人の医師がバネ指だというので、2分ほどで治してみせたりと検証は欠かしません。
そうすることで自分の実力の精度や効果を再確認しておきます。
技術を教える立場になろうが胡坐をかくことはせず、生徒さんの成長に合わせて常に適切なアドバイスが出来るように意識しています。
こんな感じで生徒さんも場数をこなせば、相手の不調が改善してしまえば、自分の実力を信じざるを得なくなれます。
ただ、たとえもし万が一、生徒さんの施術が上手くいかなくても、私がギックリ腰を治してしまえばそれはそれで、お客さんとしてはどちらでもよかったのも事実です。
一番大切なのはお客さんが症状をしっかり改善できるかという所ですから。
長期的な目線で言えば、もし生徒さんの気功が上手くいかなかったとしても、もっと上達してもらって、またどなたかを施術できる機会に成功すれば良いだけです。
ただ今回は自信がありましたが、生徒さんの気功の施術が上手くいったことが良かったです。
未来への不安を乗り越え、今できることを積み重ねることが一番の近道です。
一つ一つの挑戦が成長となり、自然と生徒さんを一人前の気功師へと導くからです。