施術者が「怖がって触れない」ことの問題
施術中に本人と話していて、驚くことがあります。
それは、手術の後や骨折の後遺症、心臓手術の後など、強い痛みや不調がある部位を施術するときに、よく言われることです。
私の場合、そういった部位があれば、まず最初にその場所を調べて、アプローチします。
でも、そういうときに、よくこう言われるのです。
「先生みたいに、ちゃんと触ってくれたのは初めてです」
よくよく話を聞いてみると、鍼や整体にも通った経験があるそうなのですが、どこに行っても満足のいく施術を受けられなかったとのことでした。
特に印象的だったのが、「触ってもらえないことが多い」という話です。
例えば、動作を確認する際に「この動きはどうですか?」と聞いても、施術者が明らかに及び腰になっているのが伝わってくるそうです。
「怪我をさせたらまずい」という思いからか、責任を恐れて触れることすらためらっているのが分かる。
本人からすれば、「この人は怖がってるだけで、向き合う気がないんだな」と感じてしまうわけです。
つまり、施術者の緊張感や不安が表に出てしまい、まともに施術ができない状態になっている。
その結果、しっかりとアプローチしてもらえず、改善につながらない。
さらに、「手術をしているから理屈が分からない」と言われたこともあり、それが大きな失望になったとのことでした。
ここまでくると、「もう期待も希望もなくなってしまう」と話していましたが、それも当然のことだと思います。
自信もなく、触れられない人は施術の資格なし
実際、「怪我させたらまずい」と気を遣って、ロクに触れようとしない施術者もいるそうです。
中には「手術をしてるから、よく分かりません」と言ってしまう人もいたそうで、それが一番ショックだったと話していました。
責任を恐れて慎重になるのは、人として当然かもしれない。
でも、それってプロの施術者としてどうなんでしょうか。
施術っていうのは、身体の歪みを見て、動きの悪さを見て、そこにしっかり向き合うのが仕事のはずです。
それができないなら、時間で料金が決まっている揉みほぐしのリラクゼーションと同じです。
施術を名乗るのは筋が違います。
実際に、病院では原因が分からない、解決できないまま不調が続いている──
そういう状態に向き合えることが、僕にとっての施術の醍醐味だと思っています。
たとえば、
- 怪我をしているわけでもない
- レントゲンに写るわけでもない
- でも、確かに痛いし、動きがおかしい
- 説明はできないけど、明らかに不調がある
こういった“よく分からない不調”に対して、体を見て、触れて、動かして、そこから改善の糸口を見つけていく。
そこにこそ、施術の本当の価値とやりがいや面白さといったものがあります。
そして、向き合うだけでなく、しっかり改善できることこそが、この仕事の一番の醍醐味です。
でも、そういった不調に対して「怖いから」「分からないから」と、触りもせず、確認もせず、遠ざかってしまうようでは、施術は成立していません。
向き合う姿勢があるかどうか
正直、こういう話を聞くたびに、がっかりします。
でも、だからこそ自分の施術が評価されるのも事実です。
「ちゃんと触ってくれて、見てくれて、しかも良くなった」
そう言ってもらえることが多いのは、技術の前に“向き合う姿勢”があるからだと思っています。
結局、責任感や向上心があるからこそ、技術を学ぶ行動につながり、それが結果として現れるのです。
やっぱり技術は人を救う|歩けなかった方が変わった理由
不調から逃げるってことは自分からも逃げることの表れだと思います。
今回の方は、これまでいくつかの施術を受けてきたそうですが、「痛いところを触ってもらえたのは初めて」と言われました。
実際に、手術歴のある部位で強い不調があり、他では十分に対応してもらえなかったとのことです。
私は、通常通りその部位を検査し、必要な施術を行いました。
特別なことはしていません。
しっかりと触れ、状態を確認し、実績のある方法で施術をしただけです。
結果は、以前よりもかなりの距離と時間を杖なしで歩けるようになり、傘をさして歩くこともできるようになりました(※2回の施術)。
やっぱり、技術があってよかったと思います。
技術は、自分も人も救ってくれます。
だから毎回、本気でやるだけです。
またよろしくお願いします。