太極拳を20年習っている70代の方が気功の体験に来られました。

体験を受講される理由は、本当に気の流れはあるのか、気が通るとどういったことが起きるのかを知りたいという事でした。

でもお話を聞いた後になって分かったのが、太極拳を健康にやりたいというのが隠された本当の想いでした。

太極拳をしているけど、腰が曲がっているので太極拳をする際に良い姿勢ができない。

太極拳で健康になるはずが、みんな病気でやめていってしまう。

太極拳をやってもみんな全然健康になってないとのこと。

私は説明よりも実際に体験してもらうのが一番分かりやすいと思うで、さっそく実践してみることにしました。

実践体験:気を通す力の違いを比較

まず、気を通した時と、通さない時で、力の伝わり方を比べてみました。

お互い胡座をかいて向かい合って、相手の足を下から両手で掬ってひっくり返すことをしました。

気を用いずに力任せにひっくり返そうとしても、びくともしません。

しかし気を通した状態で行う、人差し指と中指の二本の指で、簡単にひっくり返せてしまうのです。

今度は肩幅に立ってもらい、正面から手のひらで押して堪えてもらいました。

手のひらで押しても、力比べのように押し合いになってしまいます。

気を通すと指一本でも相手を我慢できずに倒れてしまうのです。

念のために、こういう事を20年習われている中で体験されたことがありますか?と尋ねると経験したことがないそうです。

太極拳を教えてもらっているなら、こういう基本的な事は出来て当たり前のはずですが、出来ないことに驚きました。

健康目的の太極拳界の問題点

これが太極拳界隈によくある問題なのです。

健康目的なものほど、太極拳の先生は生徒さんに気を体に通す、気を感じるのが大切と言います。

しかし、気が通った時に自分や相手にどう伝わるか、どう変化がするか証明、実践していない太極拳の先生が多いのでしょう。

そして弟子も気や太極拳の身体使いをした時にどう変化するのか分かっていない。

つまり現実的な言い方になりますが、習った生徒の太極拳は、ただの踊りになっているのです。

太極拳の動きだけ真似て気を扱う方法を知らないのでは、健康にもならないし、身体も丈夫にもならなりません。

20年という歳月を使わせて、形しか覚えられていない現状を見てなんとも思わないのでしょうか。

私なら申し訳なさ過ぎてなんて言ったらいいか分からなくなるのでしょう。

なので、こういう事が決して起きないように、私は教える時はしっかりできるようなってもらう事をゴールにしています。

太極拳の限界:他の運動との比較

無駄という訳ではありません。

何も運動しないよりはましです。

でもどの運動でも代謝が上がったり健康的になるので同じです。

むしろ太極拳より、ジョギングや、テニスなど、汗をかくようなスポーツをされている方が、よっぽどスタイルも良く若々しい方が多い印象を受けます。

站椿功の実演と指導の問題

折角なので站椿功という代表的な稽古法を見せてもらいました。

そしたら腰がかなり曲がっていて姿勢は明らかに前かがみでした。

健康になるはずの太極拳が基本的な稽古法の姿勢ができていないのはどういうことでしょうか。

師事されている先生はどういう風に教えてくれてるか聞くと、いくつかのツボと経絡を意識しなさいと教わっているそうです。

これで分かるのは、微細な感覚を自分で発見できる感覚の良い人だけです。

選ばれた人しかできない以外は、残念な結果になることが多いです。

骨盤矯正の現実と気功の即効性

そして現在、腰を治すために整体で、骨盤矯正、半年で60000円コースに通っているそうです。

ネットが普及した今でもこんな古臭いコースをまだやってる整体院があるのだと思いました。

反り腰を改善するのは下手したら一回で済むこともあるし、長くても半年なんて絶対にかかりません。

原因を見つけるのに時間がかかるだけなので、どんなに見積もっても5回あれば十分です。

説明しても信じてもらえないので、結局3分ほどちょっとだけやってみました。

まだ腰は沿っているものの、術前より明らかに腰が真っすぐになりました。

そして本人も現在通われている骨盤矯正の施術より、明らかに体が楽になっていることに驚かれていました。

今回はあくまで気功の体験程度の施術しかしていませんが、まともにやったらさらに効果が出るのは目に見えています。

遠隔気功の体験:変化を実感

今度は離れて気を送って、どのような変化が出るか、感じてもらう事にしました。

こちらが見えないように、こちらに背を向けて立ってもらった状態で、気を送りました。

これは気を感じられる人と感じられない人がいるので、少し曖昧な結果になりえます。

もし気を感じられたら気の証明になるので、やってみました。

結果は、足の裏の重心が片側の足に偏っていたのが、両方にバランスよく体重が乗るようになったということでした。

師匠の背景と太極拳の全体像

この方の師事される先生は、日本人に招かれて日本で太極拳を教える事になった名のある太極拳の先生だそうです。

この方が習っている太極拳の質が低いから、皆具合が悪くなり太極拳をやめていくのではなさそうです。

となると、太極拳すべてを否定しませんが、気の通らない太極拳は健康にならないという答えかもしれません。

太極拳をしているけど、腰が曲がっているので太極拳をする際に良い姿勢ができない。

太極拳で健康になるはずが、みんな病気でやめていってしまう。

太極拳をやってもみんな全然健康になってない。

この言葉が全ての答えを物語っているように思えます。

まとめ 気功と太極拳の関係性

気を扱うのと、太極拳の稽古法と、実際に気を出したり気を感じたりする稽古法は違うという事です。

太極拳の気の覚え方って、ツボとか経絡とかの知識の話ですが、気功は気を感じるコツや、気を操る方法に特化した内容です。

気が合って太極拳があるので、太極拳がどうもうまく覚えられないという方は、気功を習うともっと太極拳が上手くなります。

まず気功だけを体験することが大切かと思います。