気功で「息を吐くと気が出やすい」は本当か?
体験会に来られた整体師の方から、こんな質問を受けました。
「気を出すとき、息を吐いた方が気が出やすいと聞いたのですが」
結論から言います。
私は試した事こそありますが、変化がないので、意味がないと思っています。
呼吸と気の出力を連動させている気功師は多い
「息を吐くときに気を出す」という教え方は、気功の世界では珍しくありません。
それ自体を否定するつもりはないです。
意識しやすい入口として機能する人もいるでしょう。
ただ、私自身の臨床ではまったく意識していない。
それでも気は出るし、クライアントには変化が起きています。
他の気功師から変化が出なかった人がすぐ変わる理由
ここで一つ考えてほしいことがあります。
他の気功の施術を受けてきた方が、うちに来て短期間で変化する、というケースが頻繁にあります。
前の施術者が「呼吸と連動させて基本に忠実にやっていなかった」とは考えにくい。
むしろ丁寧に教えて、実行もされているはずです。
それでも変化しなかったとすれば、呼吸の連動は本質的な要因ではないということになります。
少なくとも、「息を吐かないと気が出ない」ということはないということ。
では何が変化を生むのか
気の出力を決めるのは、呼吸のタイミングではないです。
私が15年の臨床で確認してきたのは、気の質と操作の精度が変化を生むということです。
医療職・治療家のクライアントも来られます。
柔道整復師・鍼灸師・整体師といった、根拠のない施術を見抜く目を持っている方々の前でも、一切触れないで当たり前に変化を出して証明しています。
気功を受けた方が驚かれることがあっても、私にとっては日常的に起きている事なので驚くことはありません。
気功では「呼吸」をどう位置づけているのか
伝統的な気功の世界では、呼吸は「調息(ちょうそく)」として重要視されています。
身体を整える「調身」、呼吸を整える「調息」、意識を整える「調心」——この三つを気功の基本とする考え方は広く知られています。
だから「気功=呼吸法」というイメージを持っている人は多いです。
「調身」——姿勢を整えるという要素があります。
ただ、この三つこれがまず難しいです。
体が歪んでいる人が「いい姿勢を取ろう」としても、すぐ元に戻ります。
それは意志の問題ではなく、体の機能上、いい姿勢が取れない状態にあるからです。
首が前に出ている人が頭を後ろに戻そうとしたり、猫背の人が姿勢を正しても、どこかが力んだり、つっかえたりする。
その時点で無理が生じています。
「調息」も同じです。
具合の悪い人は呼吸が浅くて息苦しい状態にある。
その状態で呼吸を意識的に整えろというのは、なかなか現実的ではないです。
「調心」——意識を整えることも難しいです。
体が歪んでいて、呼吸が浅い人が心を落ち着けることはどうなのでしょうか?
三調を意識したとて、突然深い瞑想状態に入れるわけも、上手くいくはずはなく余計にしんどくなるでしょう。
三調はある程度整った人が実践できるものであって、体調が悪い人がやろうとしても難しいというのが正直なところです。
だから現実的に考えると、まず気功師や整体の先生にきちんと体を整えてもらう。
ビフォーアフターがはっきり分かるように姿勢を変えてもらう。
呼吸が深くできるようになって、心もリラックスできる状態になってから、三調を意識して気功をやる
その順序の方が理にかなっていると判断するのは私の経験からです。
「気を出すとき息を吐く」——それ、検証しましたか?
気功を名乗る人たちの情報の多くは、受け売りです。
「息を吐くときに気を出す」「呼吸と気は連動している」——こういった話は気功の世界で広く流通しています。
ただ、それを言っている人間が自分で検証したかどうか、私はずっと疑問です。
自分の手で試して、結果を見て、それを根拠に語っているのか。
それとも誰かから聞いた話をそのまま出しているだけなのか。
私が言っていることは経験に基づいています。
15年間、実際のクライアントに施術して確認してきたことです。
似たような情報しか出てこない人を信用しない理由
気功に限らず、どの分野でも「みんなが言っていることをそのまま言う人」がいます。
情報を精査していない。
自分の頭で考えていない。
何を根拠にそれを言っているのか、自分でも分かっていない。
それは控えめに言って、信頼に値しないです。
自分の発言を客観的に見られない、自分の思考を自分で把握できていない状態で発信された情報は、そのまま信じるに値するとは私は思いません。
「検証している」と「聞いた話をしている」は、結果に出る
他の施術者から変化が出なかった方が、うちで短期間に変わるケースが続くのはこういうことだと思っています。
情報の出所が「経験」か「受け売り」かは、施術の精度に直接影響します。
「力を抜け」と「息を吐くと気が出る」は同じ問題だ
合気道でも同じ構造があります。
「力を抜け」「呼吸を合わせろ」——こういった言葉が検証されないまま継承されています。
言っている本人も、言われた側も、その意味を突き詰めていない。
「力を抜け」は間違いではないです。
ただ、それだけでは不完全です。
正確に言うなら、力みのない体の使い方そのものを会得しろ、ということです。
力を抜くのは結果であって、目的ではない。
私はこれを言葉だけではなく、再現できますし人にコツを教えることもできます。
気功の「息を吐くと気が出る」も同じです。
言葉だけが流通して、誰も掘り下げないという事が行われているのではないでしょうか。
突き詰めれば、すぐにいくつかの疑問が生じる話が、真実のように扱われています。
私が「気功」と名乗る理由——独学で、触れずに、それでも結果が出る
よく聞かれます。
「どこで気功を習ったんですか」と。
答えは、どこでも習っていないです。
独学です。
そして施術中、クライアントの身体に触れません。
それでも「気功」と呼んでいる。
「ヒーリング」とも言える。
日本の文脈では「霊術」という言葉もあります。
呼び方は何でもいいと思っています。
見えないものを扱うという点では、どれも同じです。
「見えない=怪しい」ではなく、結果で判断してほしい
気功の正規ルートを経ていないから胡散臭い、という見方もあるでしょう。
ただ、正規ルートを通っていて、教科書通りに教えていて、それでも結果が出ない施術者はたくさんいます。
私が問うているのはそこです。
どこで習ったか、何を発信しているかではなく、実際に変化を起こせるのか、実証できるのかが大切です。
「息を吐くと気が出る」——その理屈を最後まで追うとどうなるか
呼吸と気の連動については、一つだけ筋の通る解釈があります。
息を吐くというイメージを経由することで、気を出す感覚をつかみやすくなる、という使い方です。
補助輪として機能する場合はある。
それなら理屈はわかります。
ただ、それが「呼吸のおかげで気が出た」のか、「呼吸というイメージを経由したことで集中が高まり、気が動きやすくなった」のかは、区別がつきにくいです。
「息を吐くときに気が出る」を文字通りに受け取ると、話が崩れます。
吐いた息は空気です。
気ではありません。
では「息を吸うときに気を吸っているのか」という話はどうでしょうか。
呼気で気が出ているというなら、吸気でも気を取り込んでいることになる。
気功と無関係な人たちも、空気と一緒に気を吸っていることになる。
そんな馬鹿なとなるはずです。
現実と照らし合わせれば、そこで終わる話です。
「呼吸と気が連動している」という説明を事実として広めることには、私は慎重です。
検証されていないことを仕組みとして語るのは、臨床家として許容できないです。
気功は胡散臭いと思われやすい分野だからこそ、客観的・論理的な思考を持って鵜呑みにしないことが重要です。
私は通説ではなく、自分で疑い、試した経験から話しています。
東京・池袋で整体院・気功整体院を経営。気功歴15年以上・施術実績10,000件以上。施術の知識を深めるためハワイの大学の解剖実習プログラムに参加し、献体を使った解剖を経験。来院者には医師・看護師・薬剤師も含まれる。遠隔気功の実績は北海道から沖縄、海外(フランス・アメリカ・オーストラリア等)に及ぶ。鍼灸師・柔道整復師への技術指導実績あり。気功教室・体験会も主宰。気功教室の受講生には医師も在籍。「信じなくても良いので、体の変化で判断してください」というスタンスで施術を続けている。


